知的障害とは?
知的障害とは、知的機能の障害が発達期(おおむね18歳まで)にあらわれ、日常生活に持続的障害が支障が生じているため、何らかの特別な援助を必要とするもの状態にあるものです。
請求の時期は?
知的障害の場合、出生日を初診日とされます。そのため初診の証明(受診状況等証明書)の提出は必要とされません。20歳前に受診していなかった場合でも20歳前傷病となります。
請求のポイントは?
知的障害は初診日の証明は必要ありませんが、20歳の誕生日の前日前後3か月間の医師による診断書が必要とされています。
そこで大変困ることは20歳の誕生日の前日前後3か月間の診断書がないことです。知的障害による障害年金について、知的障害児の保護者は誰からも聞かされていません。行政は3歳児健診など行い子供療育センターなどにいかせますが、障害年金の事は話しません。支援学校、支援学級の教師も教えません。医師が教えることもありません。「手帳」の事は教えても「年金」の事は教えないのです。だから20歳過ぎて20歳前障害の請求を行なうことは極めて困難です。知的障害の方及び保護者の方は、療育手帳の取得と20歳頃の診断書の取得は必ず行っておくことをお勧めします。
知能指数による判定区分は大概次のように定められています。IQ51~70:軽度、IQ36~50:中度、IQ21~35:重度、IQ 20以下:最重度
障害等級は知能指数、療育手帳の有無区分が考慮されるもののそれのみに着眼することなく日常生活における様々な場面における援助の必要度から認定を行う事とされています。軽度の知的障害だから認定されないということもありません。
知的障害の等級表の一部例示
知的障害の等級表を一部例示すると次のとおりです。
障害の程度 障害の状態
1級
知的障害があり、食事や身のまわりのことを行うのに全面的な援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が不可能か著しく困難であるため、日常生活が困難で常時援助を必要とするもの
2級
知的障害があり、食事や身のまわりのことなどの基本的な行為を行うのに援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が簡単なものに限られるため、日常生活にあたって援助が必要なもの
3級
知的障害があり、労働が著しい制限を受けるもの知的障害の認定に当たっては、知能指数のみに着眼することなく、日常生活のさまざまな場面における援助の必要度を勘案して総合的に判断します。また、知的障害とその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは、併合(加重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定します。
日常生活能力等の判定に当たっては、身体的機能及び精神的機能を考慮のうえ、社会的な適応性の程度によって判断するよう努める。
就労支援施設や小規模作業所などに参加する者に限らず、雇用契約により一般就労をしている者であっても、援助や配慮のもとで労働に従事しています。したがって、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、現に労働に従事している者については、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断します。
発達障害とは?
発達障害とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠如多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものです。現在では、ADHD(注意欠如多動性障害)、ASD(自閉スペクトラム障害)、LD(限局性学習症)の3つに分けられています。そして、専門家・精神科医の岩波明氏は「発達障害は病気ではなく【脳の個性】治すべきものではない」と言っています。
発達障害についてはたとえ知能指数が高くても社会行動やコミュニケーション能力の障害により対人関係や意思疎通を円滑に行うことができないために日常生活に著しい制限を受けることに着目して認定を行います。
また、発達障害とその他認定の対象となる精神疾患が併存している時は、併合(加重)の認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定します。
前発疾病 | 後発疾病 | 判定 |
---|---|---|
発達障害 | うつ病 | 同一疾病 |
発達障害 | 神経症で精神病様態 | 同一疾病 |
うつ病 統合失調症 | 発達障害 | 診断名の変更 |
知的障害(軽度) | 発達障害 | 同一疾患 |
知的障害 | うつ病 | 同一疾患 |
知的障害 | 神経症で精神病様態 | 別疾患 |
知的障害 発達障害 | 統合失調 | 前発疾患の病態として出現している場合は 同一疾患 |
知的障害 発達障害 | その他の精神疾患 | 別疾患 |
発達障害は通常低年齢で発症する疾患ですが、知的障害を伴わないアスペルガー障害や広汎性発達障害については、医学的には先天性とされていますが、なかには高学歴で就職後に日常生活に支障をきたすような症状が出現し、20歳以降に初めて受診してアスペルガー症候群の発達障害であると診断されることもあります。
幼少時にさしたる症状がなく厚生年金加入後に初診日があるものについてもアスペルガー症候群等の発達障害で一律に初診日を20歳前とすることは、障害厚生年金の受給権を阻害することにもなるため実際に受診した日を初診日とすることになっています。
発達障害の等級の一部例示
発達障害の等級表を一部例示すると次のとおりです。
障害の程度 障害の状態
1級
発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が欠如しており、かつ、著しく不適応な行動がみられるため、日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの
2級
発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が乏しく、かつ、不適応な行動がみられるため、日常生活への適応にあたって援助が必要なもの
3級
発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が不十分で、かつ、社会行動に問題がみられるため、労働が著しい制限を受けるもの
日常生活能力等の判定に当たっては、身体的機能及び精神的機能を考慮のうえ、社会的な適応性の程度によって判断します。
就労支援施設や小規模作業所などに参加する者に限らず、雇用契約により一般就労をしている者であっても、援助や配慮のもとで労働に従事しています。したがって、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、現に労働に従事している者については、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断します。
重視される不適応行動とは
不適応行動とは、「他人との関係や社会生活のルール、公共の場でのルール等にふさわしくない行動」をさします。
具体的は以下の事例が示されています。
- ・自分の身体を傷つける行為
- ・他人の物に危害を及ぼす行為
- ・周囲の人に恐怖や強い不安を与える行為
- ・著しいパニックや興奮、こだわりなどの不安定な行為