年金改正か改悪か(2020/11/18)
年金制度の改正点
被用者保険の適用拡大
在職中の年金受給の在り方の見直し
受給開始時期の選択肢の拡大
被用者保険の拡大
短時間労働者に対する厚生年金の適用拡大
(令和4年10月、令和6年10月実施)
➀1週間の所定労働時間及び1か月の勤務日数が、通常の従業員の4分の3未満の短時間労働者に対する適用拡大の基準のうち、従業員数「501人以上」の企業規模要件が、令和4年10月から「101人以上」に、令和6年10月より「51人以上」に拡大される。
②適用拡大基準のうち、「1年以上」の勤務期間要件が撤廃され、令和4年10月からフルタイム労働者と同様の「2カ月超え」となる。
③労働時間要件(週20時間以上)、賃金要件(月額8.8万円)、学生除外。
一覧表
| 平成28年10月 | 令和4年10月 | 令和6年10月 |
企業規模要件 | 501人以上 | 101人以上 | 51人以上 |
労働時間要件 | 週20時間以上 | 週20時間以上 | 週20時間以上 |
賃金要件 | 月額8.8万以上 | 月額8.8万以上 | 月額8.8万以上 |
勤務期間要件 | 1年以上 | 2カ月超え | 2カ月超え |
学生除外要件 | 除外 | 除外 | 除外 |
*正規・非正規にかかわらず、出来るだけ多くの労働者から保険料を徴収することが目的。
*健康保険も、厚生年金と同様に適用拡大される。
*現時点で、社会保険の被扶養者(第3号被保険者)の収入要件に変更はない。年収130万円未満であっても、適用拡大要件に該当すれば、被扶養者にならず、自分で厚生年金・健康保険に加入することになる。
2 非適用業種の見直し(令和4年10月実施)
➀非適用業種のうち、弁護士・税理士・社会保険労務士など法律・会計を取り扱う「士業」について、5人以上の事業所が被用者保険の適用業種に追加される。
②新たに適用業種に追加されるのは、弁護士・司法書士・行政書士・土地家屋調査・公認会計士・税理士・社会保険労務士・弁理士・公証人・海事代理士の10士業。
健康保険の拡大(令和4年10月実施)
在職中の年金受給の在り方の見直し
60歳代前半の在職老齢年金制度の見直し(令和4年4月実施)
➀60歳~64歳の在職老齢年金について、支給停止基準額が、現行の65歳以上の在職老齢年金と同じ「47万円」に引き上げられる。
・現行の支給停止額の計算式
(総報酬月額相当額+基本月額―28万)×2分の1
・令和4年10月以降の支給停止額の計算式
(総報酬月額相当額+基本月額―47万円)×2分の1
②60歳代前半(特別支給の老齢厚生年金)は、女性のみ令和12年まで続く。当法人では、いわゆる嘱託としている人たちで関係する方がいるかもしれない。
③特別支給の老齢厚生年金は、65歳からの本来の老齢厚生年金とは違って、引き下げによる増額はできない。ここは注意
65歳以上の在職定時改定の導入(令和4年4月実施)
➀現行
70歳到達時(退職時又は厚生年金資格喪失時)に年金額決定
②令和4年4月以降は
在職中、毎年1回の改定を行う
受給開始時期の選択肢の拡大(令和4年4月実施)
繰り下げ受給の上限年齢の引き上げ
➀現在、70歳となっている繰り下げ受給の上限年齢を75歳に引き上げる。
②そうすると、60歳から70歳となっている年金受給の開始時期の選択肢が60歳から75歳に拡大される。
③繰り下げ増額率は1月あたり0.7%なので、75歳受給の場合、増額率は84%となる。
今回は以上です。